悠々談談

日々思うことを、つらづらと

ソールライターというという写真家に巡り会えた幸福

 渋谷のヒカリエで7月8日から8月23日まで開催された「ソール・ライターの原点」。TBSラジオライムスター宇多丸のアフターシックスジャンクションで紹介されていったのだが、見事に打ちのめされた。

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ニューヨークの街角のさりげない風景を撮り、今から60年、70年前にそこで生活し、働いていた人の息遣いが聞こえてくるような写真ばかりだった。例えばこの写真。信号をまつ女性2人と老婆。何気ない3人のポートレートだが、この3人はどこに行こうとしていたのかわかるすべはないが、ふと3人の日常に想いを馳せてしまう。

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公園の石段に座っている男たち。お休みなのか、仕事の休憩中かわからない。思わず、「Are you fine?」と声をかけたくなる。

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その腕を見込まれて著名人の写真も撮っている。この写真は若き日のアンディウオーホールと母親。

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腕を見込まれファッション誌の写真も撮っているが、お金に執着しないのかニューヨークのアパートに住んで街ゆく人を撮り続けた。でもお金がなく家賃の督促も頻繁だったらしい。これは展示会に再現された彼のアトリエ。

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お金がないから、自分も記憶あるがカラーのネガフィルムは焼き付けるのにお金がかかる。2013年に死去したが彼の撮影した大量のネガフィルムがあり、それも一部が展示された。

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また、展示会の最後のコーナーではそのネガフィルムをスライド上映するコーナーがあり、しばらく見入ってしまった。

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『Saul Leiter Early Color』(2006年)の編者で著者のマーティン・ハリスンは「ライターの感受性は…ロバート・フランクウィリアム・クラインといった写真家が関連づけられる、都会の不安との赤裸々な対峙の外側に自分を置いた。その代わりカメラは彼に、見て、事象を切り取り、現実を解釈する別の方法を与えた。彼はマンハッタンの大混乱の中で静かな人間らしい瞬間を捜し、最もありそうもない状況からユニークな都会の田園詩を創り出した。」と書いた(出典ウイキペディア)

 

こんな写真はアナログゆえできることなんかなあ、とふと思った。この展示会での収益は財団が大量のネガフィルムの所属管理に使われるらしい。巡回で展示会あるならまた見に行きたい展示会。