悠々談談

日々思うことを、つらづらと

ゲームチェンジの時-3- 映画料金とシネコン

   映画料金が値上げした。値上げが最初に報じられた時、ニュースについてコメントする識者が最近は映画に行く人も少ないですからねと言っていたが、私は少し違和感があった。なぜなら毎週末映画館に行くが、けっこう混んでいたからだ。むろん、シネコンという仕組みも影響しているのかもしれない。スクリーンが10近くもあり、それぞれキャパが違い、売れる映画は大きいキャパに、売れなければ小さなスクリーンでも1週間で打ち切り。だから、上映開始直前に映画館に行くと売店はすごい人で自分はコーラとポップコーンを常に求めるが、時間ないと仕方なく飲み物なしでスクリーンに向かうことは最近多くなった。

 じゃあなぜ値上げか?私は上映に当たって配給会社に支払う興業サイド、つまり劇場の支払うお金が高くなっているんじゃないか?と思う。最近はIMAX上映も多い。IMAXのカメラは一台50万ドル。日本円で換算すると7200万円。これは大袈裟にしても、ドルビーアトモス、ドルビーシネマ。ただ単に映画を撮れればいいではなく、SFXだってお金はかかる。コンピュータだともちろん償却はするにしてもソフトウエアのアップデートもそうとうかかると思うし、その映画のためのソフトがあるならば半端ない金額がかかる。それが配給の際劇場サイドの負担となる。

 劇場自身にしても設備投資がかかる。私が好きな劇場はドルビーシネマだが東京都内では2カ所しかない。全国でみても7館だけ。IMAXシアターも迫力ある映画の形式だが、全ての県には存在していない。IMAXも、そこそこの設備費がかかる。最近は配信では味わえない醍醐味を味あうために劇場に足を運ぶから、そのためには設備投資が必須になる。

 こう言った状況から言えるのは人が来ないから値上げではなく、以上のような諸条件が絡み合った値上げではないかということ。

 ただそこで別の問題を考えざるを得ない。小コストで作られた良作の上映の場が少なくなる問題だ。シネコンは全て大手映画会社系列、流通グループ系列など資本力のあるところが主体。そこに集客可能性が未知数の小コストで作られた映画の入り込む余地は少ない。東京ならば、それでもそういった良作を主体に上映する映画館はあるが全国規模となると心許ない。自主上映とかに頼るしかない。そしてシネコンは設備投資にかけたコストの回収を図るために人の入る作品ばかりが上映される。その結果、ハリウッド系のアメコミ大作が同時公開されスクリーンの奪い合いということになってしまう。でも、こういうお金をかけた大作は、得てしてそんなに後に残らない。面白かったらで終わってしまう。あと配信になってもみることはあまりない。

 百円の値上げとはいえ、シネコンの営業でますます大作志向にならないことを祈りたいと思うが、難しいだろうな。