悠々談談

日々思うことを、つらづらと

ゲームチェンジの時-2- バブル

  私がバブルをイメージするのは評論家の佐高信が言ってた「社円」。個人ではそんなに給与は上がらなかったが、交際費は各企業は使い放題で、銀座や新宿では深夜になると終電後の酔客を拾うタクシーがあふれていた。週末金曜日だとタクシーも奪い合いで、拾えずにまた飲み直すこともあった。タクシーといえば今のような仕組みにはなっておらず、降車の時、運転手に手書きの領収書をもらった。¥が入っていない、もしくは隙間があると1を加える悪さをするやつもいた。そして、運転手によっては白紙の領収書をおまけにくれたり。とにかく一晩飲んで数十万でも領収書を会社は簡単に決済した。要は会社経由でバブルは膨らんで行った。一晩で何十万も個人では飲まない。会社だから飲む。それを佐高信は会社の円、「社円」と称した。

 ただ、そうは言っても個人でも可処分所得という面から行くと今では信じられないこともあった。賞与は今では当たり前だが、社会保険は引かれなかった。ざっくりした計算で恐縮だが、いま100万円の賞与としたら15万円近く天引きされるが、それがなかった。確か所得税も普段の給与とは違い税率は低かったと思う。それだけ手取りは多かった。NTTの株式公開があったのもその頃だから、そういった空気が人を株式に走らせたのかもしれない。特にこのNTT株は上場後も値上がりを続け、それも頻繁にニュースになった。それがまた、国民のバブル踊りを煽った。派遣就業は時給単価ではあったが、同じ仕事でも社員の給与より高かった。当時の説明としては、派遣は定時にきっちり帰る。しかし、更新がいつきられるかわからない。退職金も賞与もない。そのリスクヘッジという説明が説得力あったことを覚えている。

 私はその頃、中小企業だったので「社円」の恩恵はなかったが、保険会社、金融機関がやたらと節税対策として従業員の保険を会社で持つとか、さまざまな節税商品を会社で使っていた記憶がある。でも、会社の入る保険で恩恵には与らなかった。街を歩いても自分の財布の中は潤っていなくても日本中ですごいの数字がニュースであふれ、実際のところ経済大国を意識させるのに充分だった。経済は心理で動くと言われるが、街に活気があると消費者も貯めるだけではなく使おうという気持ちになる。日経平均が4万円になると言われても、「そうなんだ」という気持ちになった。

 

 こういったバブルが弾けたのはいつか?不動産価格が高騰。それを抑えるために貸し出しの総量規制を行ったのがきっかけと言われるが私も同じ印象。

 

 では今はどうして株価は高いのに国民は踊れないのか?会社から行くと経営陣は常に株価を意識せざるを得なくなった。というのも東京証券取引所上場企業の7割が外国経由。外資は常に財務指標をチェックしているから、海外の投資家を意識し利益を出すことが最優先になっている。そこため、利益を削る。だから領収書をフリーパスで精算できなくなった。人件費のカットは容易にはできないが、派遣法がなし崩し的に改悪された。経理的には給与手当、法定福利費などは簡単に削れないが、派遣費用は法的規制も少なく簡単に切ることができてしまう。派遣会社社員は派遣社員のためには動いてくれない。長期雇用の派遣は正社員にする改正もあったが、どこまで有効性を持って扱われているか?直前で派遣契約をやめる。バブルのころ派遣の時給は比較的高かったが、ほとんど上がらない。そしていまでは、派遣含めた有期雇用が全就労者の4割を占める。賞与も社会保険が引かれるようになって手取りは減。消費税も上昇。そういえば、バブルの頃は消費税はなかった。

 会社も金払いが悪くなる。煽りを食うのはそこで働く人。正社員が辞めても正社員補充ではなく

派遣社員。そして、彼らに関わる経費は本人に支払われる金額の倍を派遣会社に払っても、正社員を雇って社会保険を半額負担し、退職金を払うこともない。では、派遣社員の待遇は時給はよこばいだし、社会保険も短い期間だと任意だったのが強制加入になる。その分手取りは減る。

 

 この項つづく