悠々談談

日々思うことを、つらづらと

ゲームチェンジの時-1- 就活

 私が学生の頃だから40年前か。よく親の世代は大学生の就職先は繊維産業とか鉱山系が強かったんだよ、と言っていた。鐘紡とか帝人など繊維の大手合併をに入れば人生安泰とまで言われた。しかしその後、繊維不況を経て自分が就職活動の頃は商社冬の時代と言われた。花形だったのは都市銀行、保険会社。今建替えに入っている大手町東京海上日動(当時は東京海上)赤煉瓦色の東京海上本社前に並ぶ会社訪問の学生が列を作る姿が10月1日の会社訪問解禁のニュースでは必ず流れた。

 しかし、金融系は合従連衡を重ね、30年にわたる低金利で銀行はどこも体力を奪われて銀行は支店統合を重ね、保険会社も先の東京海上を含め合壁を繰り返した。ほかに何が変わったかというと、インターネット。瞬時にして資金が国境を渡る時代。これまでは大蔵省、財務省に守られていた業界自体が今ままでのルールでは存続し得なくなっている。私が若い頃は25日の給料日にはATMに長い行列ができたが、今はさほどでもない。キャッシュレスが増えたことも一因だが、コンビニのATMを使えば、ネット銀行であれば深夜でもお金が下せたりする。例えば楽天経済圏であれば銀行、クレジットカード、証券、通販、モバイルを楽天グループで預金金利も優遇され、ポイントによってそれを投資に使うこともできる。焦る既存金融のひとつ三井住友は同じような経済圏をOliveの名のもとに始めたが、三井住友はあいかわらず店舗は保持したまま。

 メーカーに目を向けると、シャープは台湾のフォックスゴンの傘下に入り再生。日産はルノーと組むことで苦境を脱出した。NEC富士通はPC部門を中国レノボとの合弁会社に切り離した。東芝もテレビ部門を中国ハイセンスグループ下で再生した。そんなメーカーでもソニーはかつての世界の注目を浴びるような商品はなくなり、当時は不評を買ったソフトビジネスが花開いている。コロンビア映画は映画が始まる時に自由の女神が現るほど米国を象徴する映画会社で、当初は申し訳ない程度のソニーのロゴだったが、最近ではエンドロールとかで大きくソニーのロゴが現れるようになった。ゲームも含めてソフト産業の会社に生まれ変わった感ある。いまEVが自動車の世界では伸びてきているが、EVはハードよりもソフトがものをいう。トヨタは今でこそ販売台数世界1位だが、急速に広まるEV市場に対応できるのか?ソフトという点では、中国勢もそうだし、グーグル、Appleが先行している。今のスマホ、ハードはさほどのバージョンアップはなくなり、アプリが注目されるが、クルマにもそれが妥当するようになるが、トヨタにあてはあるのだろうか?

 そして、メディア。40年前は朝の駅売店は日経が山積みになっていて、週刊誌もかなりのスペースをとっておいていた。また朝と夕方には、特に夕刊紙が出る時間帯には首都圏主要ターミナルには個人の方が営む新聞雑誌専門の屋台のような売り方も多くあった。電車に乗っても雑誌広告、月曜は出版社系週刊誌。火曜日が新聞社系週刊誌と言った感じで売られてきたが、今はそういう広告もない。電車に乗っても新聞を開く人は少なく、雑誌を見る人も少ない。おそらく新聞はみんなネット配信をスマホで読んでいるんだろう。でも配信購読料金はなぜか紙の新聞の購読料と変わらない。背景には販売店の維持費が問題としてあるのかもしれないが、その販売店をどうするかはいずれ通らなければならない問題で、先送りしていいのかという気がする。テレビも問題はある。ネットで同時配信するようになったけど、配信が途絶えることがある。おそらく他社から配信受けた動画の二次利用が契約に入ってないためだと思うのだが、ではなぜその問題を解決してネット配信にしなかったんだろう。半はだ疑問。NHKも受信料は見る対価じゃないというなら、民放と同じように株式公開してはどうだ?と思う。受信料をNHK運営のために払うとしたら、払う人の意見を組み入れないといけない。それには株式公開がいいんじゃないかと思う。

 こうしてみると時代の変化、社会の変化にいまだに昭和のシステムで対応してるように見える。現状維持で行く限り、時代の流れに見事に乗った中国には永遠に追いつくことはできない。今のシステムを破壊して、再生するのはなにかきっかけがないと難しい。東大生が霞ヶ関に行かず、外資系コンサルに行くようになって久しい。

 ゲームチェンジ。しなければならないことは誰もが認識してる。しかし、社会の歯車の動きが複雑化しているため、どうすれば改まるかわからないまま、奈落の底に向かっているような気がしてならない。