悠々談談

日々思うことを、つらづらと

バッファローが動き出すのはいつか?

 日本人は1人で動き出すことはない。おかしいと思っても、1人では動かない。でも1人が動き出すと群が全体として動き出す。私がこの言葉を知ったのは、辻野晃一郎さんの著作だったと思う。みんな薄々おかしいと思っていても動かない。動く人がいても数人なら黙殺。でもその数が増えていくと一気呵成にその動きは加速していく。第二次世界大戦がそうだった。みんな大本営発表をおかしい、おかしいと思いながら、ずるずると月日を消化してしまい、敗戦。

 

 そして今、その轍を踏もうとしている。

 

 何かというと経済だ。日銀の異次元の金融緩和が続き、円という通貨が市中に放出されまくっている。市中の円が増えれば当然の如くモノの価格は上がる。円の流通は増えても給与は上がらない。選挙目当てでばらまきをすればするほど国債を刷っては日銀に買わせる。統合政府論とかいって日銀は日本国の子会社みたいなモノだから問題ないという意見も聞く。しかし、インフレがさらに加速し行き着く先は?となると、

1 日銀が国債を買い取る金利を上げて市中に出回る円の回収に向かうのがまず第一の方法。しかし、これはとんでもない劇薬で、国債の買い付けの金利を上げると国債の価格が下がる。となると日本銀行もそうだが、特に地方銀行国債を大量に保有しているから含み損が発生し、バランスシートが債務超過になるリスクを孕む。日銀は日本は長期保有の時は簿価で記録しており時価評価は関係ないと考えているようだが、先般の首相のクビがとんだ英国もまさに同様の流れでの首相交代だった。いくら日本が簿価だ!と言い張っても、マーケットは時価でバランスシートを見る。もし、そうなった場合市中の銀行は債務超過となれば取り付け騒ぎになるだろうし、日銀の場合は債務超過になってしまった場合、円は大暴落を起こす。なぜなら、日銀のバランスシートが債務超過になれば、経済の規模、実力以上の紙幣を刷りまくっていることが露わになり、円を買う人はいなくなる。ということは、今は1ドル149円だが、200円とか300円にもなりかねない。

2 このまま突き進むのが2番めの方法。しかしこれはこれで悲惨。ひたすらお札を刷り続けるわけだから、いわゆるハイパーインフレ。卵ワンパック1000円、1万円にもなりかねない。

 

どっちに転んでも庶民は苦しい思いをするだけ。リスクヘッジとして外貨資産を持つことくらいしか対抗手段はない。そういう先の先を見越したか、三菱UFJはつい最近まで同行の米国子会社の銀行に、同行に口座を持っている場合日本国内にいながらにして海外口座を持てるサービスを行なっていたが、取りやめてしまった。おそらく海外避難組が殺到したのだろう。米国の銀行に口座を外国人が作るのは簡単ではないから。また、ある論者は、庶民がささやかなる抵抗で米国株式を買うことを「だから円安になる」と揶揄するが、そんなレベルでそこまで為替は動かない。

ただ2番めは国にとってはメリットあり。物価がぐんぐん上がっても、国債は100万円の国債が200万円になることはない。インフレで税収の桁が一桁、2桁増えれば加速度的に国の借金は消えていく。

 

これは明らかにアベノミクスの失敗の成れの果てである。しかし、つい最近までそこは言及されなかった。日銀はもちろん、財務省、メディアもひたすらこの金利引き上げには言及してこなかった。金利を上げることはアベノミクスの失敗と同義だからだ。それでも、最近は日本という国の財政、金融の異常さに言及する人が増えてきた。もう遅いのかもしれないが、傷から多少の出血はあっても、政策を大きく帰る時ではないか?

 

後になればなるほど出血も痛みも増すから。バッファローよ、動け!