悠々談談

日々思うことを、つらづらと

日本の時代劇はなぜ面白くないか?

 大河ドラマが最たるものだが、出て来る人物は、家康、信長、秀吉、信玄といった一連の誰もが知るスターであり、誰を主人公に据えるかで、若干の差別化をはかる。しかし、史実は視聴者の誰もが知っているから、あとは、その役者がたとえば秀吉をどう演じきるかしか興味の対象はないし、一度二度見落としても、なんら不都合は生じない。ああ、先週はあそこまでやったのか、と思うだけ。それ以外の題材は、忠臣蔵宮本武蔵明治維新水戸黄門もあったか。

 日本の歴史は、中国4000年に比べれば短いかもしれないが、戦国時代しか時代劇のヒーローがいないということは、いくらなんでもないだろう。でも、これは突き詰めていけば、天皇家のからむ権力闘争を描かざるをえず、万世一系を良しとする明治維新政府が正統政府とする歴史観を壊すおそれのある題材に対しタブーでもあるのか?と思ってしまう。

 たとえばお隣韓国では李氏朝鮮宮中の権力闘争をえがいたトンイ。トンイはほんのわずかな史実の記載が残るのみだが、脚本家がそれをふくらませドラマ化し見応えがあった。見る側も、史実とは違うという前提でそれを楽しむ。

 そういう天皇家の権力闘争ドラマは、日本がそれこそ、共和国でもならないかぎり難しいのか?けっこう、日本にはタブーが多いことを時代劇をとおして実感する。