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悠々談談

日々思うことを、つらづらと

消えた街、ひと、そして

エッセイ

 今、平和記念公園原爆資料館の改修工事が進んでいて、その周りの地面のタイルを剥がし、土を掘っている。その周りは白い幕で覆われている。

 土を掘るのは重機を入れるのに地盤を補強するためだが、同時に発掘作業も行われている。

 でも、この土の下には、別に土器や化石があるわけではなく、人が住んでいた町の遺構が出てくる。あの8月6日一瞬に地上から消えた町の遺構。

 そこは広島市でも一番の繁華街で、いろんなお店があり、人が住んでいた。代々商売をやってたとこもあった。おじいちゃん、ひいおじいちゃんの代から受け継がれた店。そいう繋がり、家族、それらが一瞬で消え去ってしまう。今の平和公園はそういった町の瓦礫に盛り土をして整備された。 

     公園をつくるにあたっては、地権者と広島市が話し合い、結果としていまの平和公園になつたわけだが、そのほんの70年前、そこに普通の街、営みがあつたということ。それを一瞬になくしてしまう原爆の非人間性をあらためて思う。

    住友銀行広島支店前の石段で、開店を待っていた人が、あの時のピカで、一瞬のうちに消え去り、影だけがのこってその石段も展示されているが、日に日にその影は薄くなってきている。

   人々の記憶から、原爆の記憶も薄らぎ、消えていくことのないことを心より願いたい。